FC2ブログ

爆走ストルイピンカ

□ 覆面作家企画6  □

覆面作家企画6 Gブロック感想

G01 いきたいと希う

覚え方。「イオリ」と音が鋭いほうが怖目の伊織、「やまと」とやわらかい方がやさしい大和。この分かりやすさは、自分のような読者にも親切。
生きていく限り、いつかどこかで戦わなければならないのは事実だが、夏休みに行く田舎のおばあちゃんが、そんな正論を説く係だろうか。ここ杏菜に同情しました。
蛍火


G02 火宅咲(わら)う

不思議なタイトル、不思議な視点。彼女が「キッチリ」した人だというのは、固定電話があるところにも感じる。アパートの去り際もキッチリしている。大家さんだけは困るだろうけど、そこは火災保険で。


G03 これから朝が訪れる

何かがひとつ違っていれば、立場が逆だったかも知れない自分の鏡像と向き合う少女の話。
猫同様、餌付けされてるのかな、と思ったら、やはりそうだった。
ただエレナの行為自体に過ちがあるとは思わない。問題になるとすればその内なる動機だが、エレナもまた、鏡の中からそれを問われていたのだろう。
軟膏の感触

G04 蝋燭

話運びのスリリングさにハラハラした。
こういう復讐・私刑物って、物語として推進力は抜群だけれど、うまく運ぶのが本当に難しい。
主人公は敵を殺す前に、まず自分の内面を、一筋だけ残して、すべて塗り潰し殺し尽くさなくてはならない。やる方も書く方も大変。作者様お疲れ様でした。
ただ気になった点一つだけ。姉さんのアパート火災、他に犠牲者は出なかった?  何の落ち度もなく「巻き込まれた」人は?  出なかったのなら、一言そう断って読者を安心させてほしい。そんな配慮も、復讐心によって塗り潰された「その他」の一部なのだろうな。暗澹。


G05 金糸雀に雨

あ、疎いジャンルなのに、これはツボに来た。雨の灰色の街で、熾火のように燃える金糸雀の羽根の美しさが、いつまでも瞼の裏に残る。なんか目頭が熱いし。
ただひとつだけ団長と作者様に質問。チケットの価格設定、高すぎない? 子ども一枚700円くらいかと思いきや、借金行脚というから、10万円からの話に読めてしまいます。


G06ファレと変な魔法使い

暗キモ→暗イケ→→→明イケという通常過程の中ほどを大胆にショートカット。ここまでくると痛快だ。
でも人間だから、急なキャラチェンジの反動は必ず来るよ。頂が高い分だけ谷は深い。できればその時こそ傍にいてあげてほしいものです。


G07 TOMOSU

若い人グワシ分かる? サバラは?
よく読むと、かなり複雑な構成。冒頭の貧乏な「彼女」って、通販番組の中の芝居の役柄なのね。違う? 違わないとすると、パン屋の話とか、ライフラインの順番の説明はどこから流れて来た? まんまと騙されたよ。ヒドイ。


G08 恋愛未満コンロ。

独特の空気感があります。そのこと自体はとりたてて珍しくない。そんなのはケツの穴と同じで、実は誰にでもひとつはある。
けれどそれに加えて、ここには巧緻なプロットが。
もしこれ、若い方が短期間で書き上げたとしたら、これは末恐ろしい話ですよ。今このときの「覆面仲間」として、自分はその名を心に刻む。


G09 火球少女 

お題をもらったとき、「火のような女」というネタは自分も思いましたが、「演歌情念方面」か「歴史スペクタクル一代記方面」にしか発想が行かなかったから、これには「オオッ」と膝を打ちました。
最初の自己紹介パターンが踏襲されるってところ、ありがちありがちw


G10 マイノリティ・レポート

タイトルからSFを思った。
それこそ山の民のようなストイックさで貫かれるレポート形式。し、渋い。イイ感じ。
しかし内容については、特に感傷的にはならなかった。日本人だって利便のために過去に一杯捨ててきた。その結果こうしてパソコンの前に座っている。
レポートの最後の署名に、アナグラムとかの仕掛けが隠されているような気がする。


G11 イレーネ

カフカの「城」のような不条理劇。
分からないことが多いが、かえってそれが深み。領主は殿と呼ばれるけれど、彼女は、一度も姫とは呼ばれない。分かる! 何か「姫」っていうオープンで牧歌的な感じじゃないよね、イレーネは。
石工なのにシュミット姓はわざと?
もし若い二人が一緒になって、イングランドまで渡りついたなら、彼女の名はアイリーン・スミスさんとか。無駄に明るい。



* 「覆面作家企画6 」目次へ戻る
*    *    *

Information

Date:2014/09/15
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback


+