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爆走ストルイピンカ

□ 覆面作家企画6  □

覆面作家企画6 Fブロック感想

F01 アイ・アム・ファイヤーマン!

読みやすく楽しい。火の玉くんの「しつこ可愛い」キャラは、キュウベエというより、さくらももこのコジコジみたい。小癪な科学知識まであるしw
名前から勘違いが起こるところの理屈付けがよく出来ている。「次、二問目、日野男!」とか、本当に先生が言いそう。
環境が汚れると心が荒む、は真理かも。自分も少し部屋を片付けようか。


F02 命がけの結婚

ラブコメ王道かと思いきや冥府魔道。「刀と手毬、どちらを選ぶぞ、大五郎」っていうアレ。
痛々しいな、その選択は。どなたが書かれたか気になって、すでに上がっている推理を覗き見してきたほど。読み返して、やはり彼女の覚悟の痛ましさに、思わず目を伏せる。


F03 僕も愛しているよ

外見と実際の性別が異なるふたり、エンジはすぐダニーを女と見抜くが、ダニーは最後まで相手のことが分からない。
さもありなんと思う。男のスカートは女のズボンより重い。一般に、女装の男は、男装の女より、遥かに屈託して複雑な内面を持つ。そのぶん他者のこともよく見ている。
エンジの中に流れる「魔物の血」って、その複雑な内面の比喩とさえ自分には読める。


F04 「幸福な食卓」

夜の夜中にこういうタイトルのお話を読みました。もうテロられる気満々です。そして本当に料理が美味しそうでした。
主人公が、街の食材関係の業者さんたちと、血の通ったネットワークを築いているところとかも、頼もしいです。魔力もいいけれど、そっちも大事。


F05 火と水の婚姻

中島みゆきの名曲「炎と水」を思い出しました。本当にそういう歌詞なんですよ。
モチーフそのものは思い付きがちではあるものの、それをブレずに、ここまでしっかりした形にするには、相当な力量が必要と思います。
説明とか、簡にして要を得て大変上手い。


F06 夕星☆えとらんぜ

お、壁ドンだ。フィクションながら、初めて現場を見たぞ。「彼は私に壁ドンした」とかの表現をも覚悟していたけど、繊細な言葉遣いでした。失礼しました。明星をバックに背負い正体をあらわしていくシーンの、カメラワークに迫力があります。


F07 火のないところに煙を立てるお仕事です。

一人称のナレーションなんだけど、最初はそう見えない。話者が周到に狡猾に自分の気配を殺しているから。このへん上手いなー。
でも友ちゃん、宮部みゆきの「模倣犯」にあったよね。「嘘の賞味期限は短い」って名文句。よくここまで運んだものだが、所詮は砂の城。大人の目から見れば。


F08 凱旋の火矢は墜されたし

タイトルかっこいい。
本文で何より目を引くのは、この、世界・国土の一木一草にまで絡まる霧のように濃密な語りの文体。これはちょっと書けない。
主人公は養母を慕い、引き取った娘を慈しんできたのだけれど、そういう人為的な縁組の限界も多分よく知っている。だから「娘ー孫」という自然な親子関係に、これほど心が弾むのだろう。
自分の理解する20世紀の中欧とは、オーストリア=ハンガリー帝国の影響下→ナチ支配下→1945年以来ソ連傘下の共産ブロックというもの。この国の歴史はやや特殊だ。
「亡君の遺児を担いでお家再興」という時代ではさすがにないが、娘の知名度が反共宣伝の具にされた可能性は十分にある。良かった。
ところでアロイスって、どこの少将だったのだろう。海もないのに海軍少将、というのが中欧あるある。


F09 千匹皮姫

うわ、これも凄いな…。とにかく書いてあることにムダがない、嘘がない。
これ書いて出してこれるひとって誰だろう。あ、分かった。冬木洋子さん。
うん、もうそのくらいのクオリティ。


F10 灯油あります。

ググって驚く。ナズナ=ぺんぺん草。前者はスズシロとともに春の七草、後者は雑草の代名詞なのに。
とても暖かくて楽しいお話でした。
ただひとつだけ気になったのは、サービスの対価をどうやって取っているかということ。ボランティアならボランティアでもいいのですが。
クールな志織さん萌え。


F11 愛の消火大作戦

正体不明の液体を、あれこれ言いながら、結局いきなり他人に向かって噴射、ってひどくないか。
でもそれは、彼がそれだけ深く信頼しているということ。戸川君を? いや、この作品が舞台としている閉ざされた世界全体を。
これ、男性の作だったら自分は驚倒します。
消「火」大作戦。

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Date:2014/09/14
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