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爆走ストルイピンカ

□ 覆面作家企画6  □

覆面作家企画6 Bブロック感想

B01 異端審問官と異端の聖女

火刑のシーンが美しく印象的でした。回避する政治的選択もありえたと思うけど、作者様、やはりこのシーンが描きたかったのでしょう。読者であるこっちも読みたいし、民衆たちも、何だかんだ言いながらゾロゾロ広場に集ってきますよ。ああ、ひとはみな罪びとなり。ところで実際の火刑って、火傷以前に、まず煙に咽喉と肺をやられる、というのですけどね。
(追記 後から教えていただきましたが、焼き殺すことを目的として煙が出ないように薪を積む、より過酷な火刑というのがあるのだそうです。作者様、失礼をいたしました!)


B02  誰か

少年の隣に越してくるワケアリの綺麗なお姉さん。これはツルゲーネフの「初恋」以来のジャンルですね。少年がワケアリ状況にどこまでコミットしうるかがミソなんだけど、この作品の彼に出来ることは、その身体の健康上、限られている。出だしの啖呵は小気味いいけどやはり気の毒です。


B03 <激情>の魔女

青鬼の出てこない「泣いた赤鬼」という見方も。「激情さん」の内心をアッサリ見透かすイル青年。お父さんは普通だけど、お母さん大物すぎ。「一角獣に求愛する馬」は見事な比喩ですね。イルと同じ立場に置かれた人間は、噛みしめなくてはならないと思います。


B04 サンシャーラ 

うわ、これは…何か迫ってくるな。特異で、通りのよくないはずの世界設定が、くだくだしい説明もないのにスッと腑に落ちる。あ、その「名前」のくだり、伏線だったんだ! 微妙なエロティシズムも出色。うーん、この作品は、ちょっとスゴイよ。


B05 人類に炎を取り戻してくれたペンギンのお話 

はあ、これがいまチマタで話題の…。 体重「リンゴ17個分」ってキティちゃんか!ナレーションの合間から時折、顔を覗かせる語り手のキャラクターがいいですね。「火」は、ややマクガフィン気味。


B06 闇盗人

男の存在感がすごい。で、思ったんだけど、彼の語る劇中劇って、望みのものを得るための即興なのでは。展開も結末も、相手の反応を見ての手探りで。この男ならそれぐらいの芸当、やってのけそうですよ。ストーリー・テラーも男性であれば、やはり究極の目的っていったらそれしかない。女はというと、暴虐な男の手の中で命をつなぐために、千の話を語ったりもするのですが。


B07魔法使いの弟子と赤の受難 

お師匠のキャラに、「赤ずきんちゃちゃ」のセラヴィを思い出しました。魔法の術式のところ、背景は難解なんだけど、当座読むのに必要なことはじゅうぶん伝わる巧みなバランス。小さいほうのカエル可愛い!


B08 クルーム・ルージュは屍に帰す

薨御なんて言葉知りませんでした。調べたら崩御の1ランク下だそうで、付焼刃ではこんなターム出て来ない気がします。個人の視点から天下国家の話になり、最後にはそれをも歴史的に俯瞰してゆく構成がいいです。ポルポト派は関係なかった。


B09 狐の嫁入り

話柄も叙述も明朗で明解で、読んで心地よくなりました。いいお話でした。若い男が、記憶喪失の娘に転がり込まれて奇妙な共同生活ってシチュエーション、憧れますね。作者様は、江戸もの、少なくとも、よく読みつけてはいらっしゃるはず。


B10 Kindling !

タイトルの意味、調べてみたら、物理的な「発火・点火」から、さらに抽象的な意味まで。派生語も盛り沢山。あのアマゾンの電子書籍端末とか。設定の不思議さもあいまって、いろんなことを想像させるお話。あと、お手すきのかた「ハイジャック 語源」でググってみて。


B11 夜の灯しびと 

メイがお化粧を始める時点で嫌な予感が頭をよぎる。幸いそれは自分の予断に過ぎなかったけれど、その「自分の予断」にすぎないものを、他人に無理やり投影してくるバカもいる(作中に)。「怖いかい?」「わかんない」の会話、さりげなく深い。「怖さ」と「分からなさ」はここでは同義。


B12 キタキタ

とにかく怪談の、恐怖の、ツボってツボをはずさず抑えてくる。この作者様タダモノじゃないな。どなただろう。いや、ほんと怖い。



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Date:2014/09/13
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